浜松市にある秋野不矩美術館。
小高い山の上に建つ美術館で、坂道を行くと崖に迫り出した建物の一部が垣間見え、歩く度、徐々に建物への期待を膨らませてくれる美術館としてはこの上ないアプローチ。
一度は坂の上に建つ建築をつくってみたい僕としては羨ましい。
登りきった先には石葺きの三角屋根と塗り壁の土着的な建物が現れ、三角屋根のエントランスはスイスの山岳部にある住宅の様な佇まいで、まるで家庭に招かれるような優しい雰囲気を持っていました。
中に入ると木造の吹抜のホールがあり、美術館としては珍しく靴を脱いで鑑賞する様になっていて、絵画が並ぶ回廊の先に外観からはまた違った白い空間の展示室がありそこは座っても鑑賞できるようになっていました。
回廊の床には竹を、メインの展示室には白い石を散りばめた質感のある感覚を素足に感じ、靴を脱ぎ、座っても鑑賞出来るようにしたのは、目だけでなく肌で感じて欲しいという設計者の想いあり、それが伝わる気持ちの良い建築で僕は好きでした。